『エアーポートで』

僕はまず始めに自己紹介をしておかなければならないだろう

そうしておかなければ、僕は全く相手にされないと思うから


僕はね、いろんな意味で責任を逃れた存在なんだ

東西南北どの方角にも僕の故郷は無い

当然帰る場所が無いんだから、失うものは無い

ある散髪屋は言ったね

最近の若い者は

失いたくない大切な人の存在がないから

関係が希薄なのだと


ねえ、どうしてだと思う

僕には大切なものがないんだ

『命捨てます』

って深夜のゴールデン街で叫んだ時期もあったな


命は捨てるものかい?

それとも拾うものかい?

単純なビートを繰り返し聞いてると分からなくなるんだ


去年は眠り続けた男が

今年は上で見下ろしている


とにかく僕にゃ責任が無い

名前もない

限定的な 存在ではないんだ


一線を画したその先で

震えているちっぽけな存在


群生的に発生しては

言葉にならぬ信号を送り続けている

永遠のセンダー


フロム、君からの言葉を待ち続けているよ

あてもなく風のシンパシーを感じながら

  それでは、さようなら

次の便で僕はおいしいコーヒーを飲みに出かけるんだ