『夜が吠える』


風が鳴り、大地が裂け、夜が吠える
真夜中の犬たちは
遠吠えを始める

母さん、もう何度目の揺れなんだ?
震え続ける足下
それが、地震なのか?臆病なのか?
分からないまま飛び出して
月の影を踏み歩く

群れをなした人々が
一様に空を見上げ
月に吠える
存在も意識も階級も
かなぐり捨てて
深夜に上昇する

その時、夕暮れまでいた君がいなくなって
汚れるのを気にせず
遊んだ君が
いなくなって
またがあると思う僕は
探しもせず
空中の微粒子を目で追う

自分の中にマグマがあって
それは、今にも噴き出しそうで
ジレンマとかポリシーとか
もうどうでもいい

当然のように僕は一人だけど
それは絶え間ない孤独を
生むのだけれど
でも、そんなの気にしてられなくて
夜が押し寄せるから
踊り続けなければ
誰よりも速く
光のように勇ましく
声を出さなければ
あの夜のように

太陽が生まれる時
夜は死ぬのだけれど
僕たちは、その体内で
充分な眠りを享受されていて
だから、目を覚ました時に
闇は体に温かく

太陽が眩しくて
それは誰を殺す理由でもなくて
君を迎える答え